日常のお手入れ
からだに触られることに慣れさせる
口のケア
口をあけるとかわいい乳歯が見られます。乳歯はだいたい3~4ヶ月になると前歯(切歯)から永久歯に生え変わります。永久歯になるまではケアは必要ありません。
しかし成犬になってみなさんが心配されるのが口臭です。小さい時は気にならなかったのに、成長とともに臭ってくるのです。しかし成犬になってからいきなり歯のケアをしようとしてもうまくいかずみなさん断念してしまうことが多いと言えます。(噛まれても平気なように)顎の力がまだ弱い子犬の時期からスタートしましょう。
口臭の原因となるものは歯垢や歯石です。歯垢・歯石は、食べ物のミネラル・唾液成分そして口の中の細菌が合わさってできたものです。
みなさんもご自分の寝起きの口臭を想像されるとわかると思いますが、口の中の環境が悪くなると細菌が爆発的に増えて臭いの原因となります。犬の場合は、それが寝起きに限らず常に口の中が細菌の増えやすい環境なのです。なぜなら彼らは、うがいをすることや、ハミガキを自分からすることができないからです。
歯垢は食後30分以内に付着が始まると言われています。ですので、食事を与えたあと30分以内にハミガキをはじめます。ハミガキの方法は以下の通りです。
1.ハミガキブラシを使う方法
2.フィンガーブラシを使う方法
3.ハミガキガムを与える方法
4.ハミガキおもちゃを与える方法
このうち1と2は犬にとっては口の中に強制的にモノを入れられるのでとても嫌がることが予想されます。しかし犬にとって(本来は嫌な)口先や鼻先を触らせる行為は服従へとつながります。歯がきれいになるだけでなく、主従関係の確立にもなるのです。将来的に噛み癖がつくなどの心配がなくなるでしょう
その代わりに、嫌がった時に諦めたり、噛まれた時に大きな声を出すと逆効果になります。子犬が優位になりかねません。
3と4のメリットは、本人の意思でハミガキ行為ができるということです。お互いに嫌なことをしないし、されないのでストレスになりません。ただし子犬のうちは、なんでも飲み込む癖があるので喉につまらせたり、食道や腸閉塞を起こす可能性もあるのでサイズには注意が必要です。できればガムやおもちゃで遊ぶ時は監視したほうが良いでしょう。
皮膚のケア
シャンプーは混合ワクチンがすべて終了するまでは避けたほうが良いでしょう。さらに、天気の悪い日や夜遅くにシャンプーをすると体温が奪われ低体温症によって死亡する可能性もあるので注意が必要です。
基本的にはシャンプーは2週間に1度のペースで良いでしょう。もし、それ以上マメに洗いたい場合は「毎日洗える」などと書かれたものや「石鹸成分のふくまれていない」シャンプーを選ぶと良いでしょう。
シャンプーは長毛犬の場合はブラッシングして毛並みをそろえてから行います。また洗浄は指のハラで優しく洗います。決して爪をたてたりゴシゴシ洗ってはいけません。皮膚が傷つきそこから細菌が侵入し皮膚病のもとになります。
人間のシャンプーと違って成分が書かれていないものが目立ちます。できれば成分表示がしっかりしたものを選びましょう。
耳のケア
耳は基本的には触らないほうが良いです。どうしても臭いや耳垢が気になる場合は動物病院やトリミングサロンで耳洗浄をしてもらうと良いでしょう。自宅の場合、犬がよく動いてしまうのでちゃんと洗浄できないし、綿棒を使って耳を傷つけることがあります。どうしても自宅で洗浄したい場合は獣医師に相談すると良いでしょう。
目のケア
目も基本的には触らないほうが良いでしょう。しかし生まれつきの逆さまつげや、ドライアイなどでケアが必要な場合もあります。その場合は獣医師に相談し、目薬の処方を受けると良いでしょう。
白い目ヤニや黒い目ヤニは、生理的(異常ではない)なものです。黄色い目ヤニは目の感染が疑われますので診察が必要です。 目ヤニの除去は、塗らしたコットンで目ヤニをふやかしながら行いましょう。また水道水は塩素による角膜刺激がありますので、薬局で売っている蒸留水や人工涙液が良いでしょう。
流涙症(るるいしょう)は目頭から涙が毛をつたって鼻筋に流れることで、シーズーやプードルで多く見られます。その場合、毛が変色するので分かりやすいでしょう。基本的には涙管洗浄などで改善することもありますが、瞼(まぶた)の構造で手術以外には治す方法がないときもあります。もし、手術をしたくない場合は、流れ出てくる涙をふき取ったり、鼻筋の毛を短く切るなどして清潔に保つ必要があります。